昭和40年代の一般家庭には、コーヒーといえばインスタントでミルクはクリープ。紅茶はといえば、缶入りで粉のレモンティーか黄色いラベルの日東紅茶のティーバッグ、だったように思います。余談ですが、出がらしのティーバッグは軽く絞って目に乗せると目の疲れが取れるとか…そんな使い方もしていましたね。
そんな我が家に英国風ティータイムの流れが!って、そんなすごいことではないのですが、都心部を通って通学する姉が、面白いお店を見つけたからと買ってきたのが「インディア・ティー・センター」の量り売りの紅茶でした。新宿高野の地下に、インド政府直営の茶葉販売店として1974年に開業していますので、開店してわりとすぐだったようです。1976年ころには毎朝飲んでいた記憶があります。当時は、コーヒー豆が売られているようなガラスケースにたっぷり入っていている茶葉を大きなスクープで計り、100g単位で販売していました。それを100gずつ買ってきてくれたんです。ダージリン、アッサム、ニルギリだったかと。飲み比べてみて、家族みんなで気に入ったのがニルギリ。今から40年以上前のお話です。今では、100gの袋入りで、デパ地下やスーパーでも販売しています。
インディア・ティー・センターは、インド政府直営で、その頃はサリーを着たインド人のお姉さんが接客をしていました。日本語もとても上手でしたね。都内でもさすがにサリー姿の方は珍しかったように思います。
我が家の朝食がパン食メインだったので、それからは毎朝ニルギリを淹れるのが日課となりました。最初は一度に300g程度を買っていたのですが、毎朝、しかも昼にも飲むとあっという間です。次第に、一度に買うのは1kgとなり、お店の人にはよく「ご商売をしてらっしゃるのですか?」と聞かれました。今思えば領収書は要らないの?とでも思ったのでしょうね。定期券を持つ姉が買ったり、買物ついでに新宿に行く母が買ってきたり。高校生になり私が頼まれる事もあって、少し大人になったような気がしたものです。
そして、今も我が家の朝は高野のニルギリで始まります。自分でも気になる茶葉はつい買ってしましますし、お茶が好きなのは友人にも知られているので、ありがたい事に様々な茶葉をプレゼントしていただいたり、またティールームに行ったりして、それはそれはいろいろな紅茶を頂いてきました。
けれど、目覚めのお茶だけはやはりここに戻ってきてしまいますね。
40数年、一度も飽きたと思った事が無いのです。これからもずっと、朝のニルギリは飲み続けていく事でしょう。